東日本大震災の被災地の先生方、今でも大変な状況にあることと存じます。お見舞い申し上げます。
当番世話人より、第25回胸部放射線研究会のご案内を申し上げます。
本研究会は、稀な症例や非典型例を主体としてradiologic-pathologic correlationを行う症例検討を基本に行われています。第25回ということで4半世紀の歴史のある会ということになります。昭和からやっているわけです。丁度手元に、本研究会の第3回、平成元年、名古屋開催のプログラムがありました。それを見ますと演題数24、へえーこんな人が発表しているの!ですが、当時も司会は放射線科医と病理医のコンビで行われています。
症例検討会ということで、たくさんの異なった疾患を勉強する機会を得ることができます。私自身出席するたびに、名前は聞いたことはあるが画像ははじめてという疾患や、新しい疾患概念の症例を経験してきました。今回も“病理診断まで行われ、画像または病理所見上、興味ある症例報告”を、応募していただき、病理医のコメントをいただきながらradiologic-pathologic correlationを行いたいと思います。
今年、特発性肺線維症(IPF)のATS/ERS/JRS/ALAT共同ステートメントが公表された(Am J Respir Crit Care Med. 2011;183(6):788-824.)ことから、要望課題を、IPFとその鑑別診断をテーマに “特発性および膠原病による間質性肺炎”といたしました。その後の日本呼吸器外科学会では、「アンケート調査で約2000例の間質性肺炎合併肺癌手術例が集積された。約11%で術後急性増悪が認められ、そのうち約40%が死亡、ステロイド投与などの予防投薬を行ってもその発生頻度を下げることはできなかった。予測因子(単変量解析)としては、画像パターンのUIPパターン、手術術式葉切>部切などであった」との中間解析結果報告が大きな話題であったと聞いています。肺癌の外科的治療においても間質性肺炎は重要性が高まっています。共同ステートメントでは、経験ある呼吸器科医(clinician)、放射線科医(radiologist)、病理医(pathologist)の総合的な診断(CRP診断)がIPFの診断の正確度を向上させることが示されています。今回も呼吸器科医に参加していただき間質性肺炎について整理および勉強をしたいと思います。
今回もQuiz演題を募集します。まず診断名を伏せて画像だけを提示し、会場で短い討論の後、診断を示す形式で、会場の聴衆にも考え参加してもらうものです。画像所見がユニークで確定診断につながる情報がある症例が対象です。症例をお持ちの方ふるって応募お願いします。
今年の胸部放射線研究会は本州最西端の下関市で開催されます。巌流島、赤間神宮、春帆楼など史跡も多くあります。会開催の10月はふぐの旬の時期です。「おいでませ!山口・下関」。秋季大会長の松永尚文教授、実行委員長の田中伸幸准教授にご配慮いただき、800名収容の大きな会場を用意していただいています。是非多数の方々にご参加いただきますようお願い申し上げます。
平成23年5月30日
当番世話人 松本 常男
国立病院機構 山口宇部医療センター(山口がん・呼吸器センター)